「……そろそろ侍部の合宿も終わったかァ……」
「………」
「……遅ェ…」
♪タンテントンティンタトティン…
「太夫か…おう、ご苦労だったな…あぁ?…そうか……何だ、あ、あぁ!?明日だぁ?……別に予定はないがよ………今、何つった?……お、おぉおう、い、いいぜ、仕方ねぇ……じゃ、映画とかか?……あぁわかった、11時な、おう…うるせぇよ、じゃあな…」
「………」
「………もしもしシタリ、俺だ…すまねぇな、緊急事態だ…明日、太夫と出掛ける事になった…デートって…ち、ちげーよ!太夫の野郎から誘ってきやがったンだよ!…何だ……まあ、いい。ンでよ、今、映画とかって何やってンだ?あと、飯喰う所な……てめっ、何で俺が太夫にそんなもン買わなきゃなんねーンだよ!……あぁ、頼むぜ……ああ…そっちも頼むわ…おう、じゃあな」
「…太夫と、デートか……フハ…ハハハハハ、太夫と、デート、するぜチクショウ!様ァ見やがれってンだ!!」
※
翌日の梅盛家。
「えーっつと。本日お集まり頂いたのは他でもない、昨日めでたく千明とことはが交際する事になった訳なのだが!」
「どーも2人は早速デートするらしいぜぇ、しかも今日!いよっ、若いね!!」
「急に呼び出すから何かと思ったら…デートくらい別にいーんじゃないの?」
「いやいや、いやいやいやいや茉子ちゃん!デートくらいなら構わねぇんだ、構わねぇんだがよ」
「侍たるもの不順異性交遊は絶対に許すワケにはいかんのだよ。交際も、清く正しく!ね、殿!」
「いや、ほっといてやれよ…」
「あたしも丈瑠に賛成。てゆーかさ、今さら不順とかって…」
「最近の高校生はませてやがるからなぁ…今頃、千明とことはちゃんも…キッスの一つや二つ、しちゃってるかもしんねぇぜぇ、なんつってな(笑)」
「…それは昨日済ませてただろ」
「!!?」
「まあ…正直ビックリしたけど、いーんじゃない?付き合ってるんだし」
「!!!?」
「ちょ、ちょっと!2人とも気付いてなかったの!やだ、丈瑠、地雷かもコレ」
「ち、ちあ、ちあきに、で、でんわ、でんわだあわわわ」
「…おち、おちけつ!おちけつりゅーのすけ!!」
「…まずはお前が落ち着いたらどうだ源太…」
※
「てゆーかさ、さっきから気にはなっていたんだけど、何で普通に十蔵がいるの…?」
「…まぁ、気にするな…いつもの事だ」
「そーそー。十蔵けっこー俺ん家泊まりに来てるぜ」
「…以外に仲良しよねアンタ達」
「だってよ?十蔵」
「…フン、どうだろうなぁ」
「まったく…何しに源太の家に来てるんだ、十蔵」
「つーか、丈ちゃんもたまには泊まりに来いよ~」
「いや、遠慮しておく」
「…部長はつれないなぁ」
「何だよ丈ちゃん、結構盛り上がるぜ~」
「…昨日は恋バナを、な…」
「オイオイ十蔵バラすなよ~」
「…絶対に泊まりたくない感じね」
「…だな」
※
「で?」
「ん?」
「今日って何の為に集まったんだっけ…」
「あ…そうだった(笑)」
「……ちょっと待て。流之介が居ないぞ」
「…ああ、副部長なら随分前に出て行ったぞ」
「十蔵!気付いてたんなら言いなさいよ、も~、嫌な予感しかしない~」
「……もしもし流之介か?俺だ、今どこにいる?………いいか、絶対にそこを動くなよ、絶対にだ!部長命令だ、わかったな!……茉子、すぐに向かうぞ、駅前通りだ」
「了解!」
「俺たちは?」
「お前達はここで待機してろ!」
「えー!巻き込めよ、ぐるっぐるに」
「…アンタ達まで来たらややこしくなるでしょ!」
※
そして駅前通り…
「…と、殿!申し訳ありません、つい…」
「まったく…千明とことはは大丈夫だ。俺達は見守っていればそれでいい」
「し、しかし…」
「んも~だから、大丈夫だってば。流之介は心配し過ぎ!」
「茉子ぉ」
「…ほら、帰るぞ…おわっ!?」
「か、隠れて!!2人、こっちに来る!」
「ままま、まままこ胸当たってる胸当たってる!」
「シッ!静かに!」
※
「映画楽しかったなぁ♪」
「おう!丁度見たいのがあったんだよな~。つか、映画で本当に良かったのかよ?」
「うん。うちは千明が一緒ならどこでも嬉しいし楽しいよ?」
「…ことは……もーお前は、もー!」
「ん?」
「…この天然め」
「何、千明?」
「んでもねーよ!ホラ、はぐれんじゃねぇぞ」
「大丈夫。手、繋いでるし…えへへ」
※
「……うわあ…」
「…すごいな……」
「ホラ、ホラ!見た?見ました?手繋いだりしてあわああわわわ~」
「…え?それ?」
「…何か…もういいんじゃないかコレは。飯でも食って帰るか…」
「と、殿!お待ち下さい!」
「もーまだ何かあるの?」
「見ろ茉子!2人の前に…」
「…ドウコクッ!太夫も一緒か」
「へぇ~。デート、かな?フフッ」
「…千明とことはに声をかけてる……ん??マズい、千明がこっちに!」
※
その頃、梅盛家では…
「何だ…まだ言ってなかったのか?」
「いやさ、十蔵…流石にバレたらヤバイだろ?」
「…そうか?」
「だってよぉ…自分のいとこと幼なじみが知らねぇ間に付き合ってる、とか…丈ちゃんにバレたら…絶対口聞いてもらえねーよ」
「とかいいながら」
「来週、水族館デートです」
「おいおい、とんだ外道だな(笑)」
「お前には言われたくねぇよ(笑)」
※
「流之介!何やってンだよ!?」
「わ、私は、流之介ではない!通りすがりの、そう、か仮面ライダーだ!」
「…♪おおなみこなみ~」
「♪わたし、いけなみ~…あ、あわわわ、ディ、ディケイドめ~!!」
「姉さん、丈瑠も。何やってンのかなぁ…?」
「…いや、その」
「あら千明。ことはとデート中だった?」
「何しれっと今たまたま通りかかった~みたいな言い方してんだよ…ったく。ま、デートだけどな~」
「ハイハイご馳走様。そーだ、さっきドウコクに何か言われてたみたいけど大丈夫だったの?」
「ん~仲良さそうにしてはったし、お二人にデートですか~?て聞いたら、突然怒らはって…」
「何かドウコクがえらく突っ掛かってくるから言い返してだけだよ。んで、太夫が後ろの保護者達はオマケか?とか言ってさ…したら、流之介の頭が見えた」
「…あはは」
「あはは、じゃねーよ!ったく…邪魔すんなよな~」
「みんな心配してくれてはるだけや。うちはみんなのお陰で千明に大好きやって想いを伝える事出来たんやし、ね?」
「まぁ、そっか…ことはがそーゆーなら…」
「(ことは…何という…純粋な…邪推して後をつけた私は…ウウッ…何と…)」
「(流之介…反省しなさいよ)」
「殿様、流さん、茉子ちゃんも。心配かけてごめんなさい。うちらは大丈夫、な?千明」
「そーだぞ!どーせ流之介か源ちゃん辺りが大騒ぎしたんだろ?」
「…グズッ…おっしゃる通りです」
「あれ?源さんは?」
「自宅待機中」
「なんだそれ?まぁいっか、俺ら今から飯だけどみんなどーすんの?何なら…」
「何言ってんの。2人の邪魔はしないわよ、源太も待ってるし、帰るわよ」
「じゃあな」
「……千明、グスッ…信じているからな!」
「…?おう…?じゃな~」
「どうしたん?」
「さあ…まあ流之介が変なのはいつもの事だし。よし、仕切りなおしだ!行こうぜ、ことは」
「うん!」
※
「しかし…まさかドウコクと太夫がデートとは…」
「あら、あたしはお似合いだと思うけど?」
「まぁそうだな…」
「…あ」
「どうした?流之介」
「殿…あちらに…」
「シタリ…何してるんだ…」
「まぁ…あっちも保護者付きってことね…太夫にバレなきゃいいけど…そっとしておこ…流之介!」
「……話し掛けたぞ…」
「シタリ…なんかもう御愁傷様…」
「…いや、待て…携帯…?」
「…メアドとか交換してるの…かな…」
「あ、握手した…」
「丈瑠…帰ろう…」
「…ああ…」
※
「たっだいま~、てまだ居たのね十蔵…」
「部長から待機命令あったからなぁ」
「…いや、お前は別に帰ってくれて構わなかったんだが」
「ゼェ…ハァ…殿ォ!置いて行かないで下さいよ~」
「で!千明とことはちゃん、どーだったんだよ」
「2人は…見守っていればいい、ですよね!」
「ああ」
「あと、ドウコクと太夫もうまくいくといいですね」
「そうだな…まぁデートしてるくらいだし大丈夫なんじゃないのか?」
「!!!?」
「へ~。ドウコクってそーゆー事すんだな…どうした?十蔵」
「いや、何でもないし別に2人がデートとか関係ないし俺には裏正があるし夏休みの宿題やらなきゃいけないし」
「…十蔵…そっか…ドウコクも大変ね、フフッ。てゆーか流之介…何でシタリとメアド交換してたのよ…」
「いや…お互い苦労するなと分かち合っただけだ」
「…多分、流之介とシタリじゃ苦労のベクトル違うと思うぞ」
「…あ、そうだ、部長、来週お前のいとこと寿司はデートするらしいぞ」
「!?」
「ちょ、十蔵!なぜにこのタイミングでバラす!?」
「水族館でしょ?薫ちゃん楽しみにしてたわよ~」
「茉子ちゃんなぜにそれ知ってる!!?」
「待て源太!どーゆー事だ!?説明しろ!」
「あら、2人って付き合ってるんじゃないの?」
「!!!?」
「源太ぁ!」
「殿、落ち着いて下さあべしっ!」
「これが落ち着いていられるか、源太、きっちり説明しろ…!」
「あわ、あわわわわわ~」
「あら~大変な事になってきたわね~。よし、あたし帰るわ、じゃね」
「ちょ、茉子ちゃん!待って、待ってくれよ、つか十蔵もさりげなく帰ろうとするなよ!流之介、起きろ!あわわ、たた丈ちゃん、話せばわかる、話せばわかるから!室内でモウギュウバズーカは止めてェ!!?」
※
その夜…
「…ん?メール?ドウコクかい」
title;無題
本文;駄目だった…
「…まぁ…知ってるんだけどねぇ…仕方がない…慰めのメールでも…ん?またメールだねぇ、お次は太夫かい」
title;無題
本文;つけるならバレない様に、な…あとドウコクがへこんでるだろうから頼む。
「……太夫め…ん?またメール?」
title;今晩は。
本文;初めてメールをさせて頂きます。池波です。さて、ドウコクと太夫のデートはうまくいったのでしょうか?私としてはドウコクがもう少し素直になればうまくいくのではないか、と感じております。貴方もお2人のことでさぞやご苦労なさっているかと思います。私などで良ければいつでも相談に乗りますのでお気軽にお声掛けして下さいますよう。近いうちに一度お食事などいかがでしょうか?夜分遅くに長々とお付き合いいただきありがとうございます。それではまた。
「………ドウコクと太夫にメールしたら……思い切って副部長に電話してみようかねぇ……」
「…………もしもし、アタシだよ…メールを見てねぇ…聞いてくれるかい?…すまないねぇ…」
…その後、何やかんやでカラオケに行く約束をした流之介とシタリ。源太と薫のデートがうまくいったかどうかはまた別のお話。
帰ってきた侍戦隊シンケンジャー記念!げどきゅん×侍部☆クロスオーバー、これにて一件落着!?
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