「合宿~!?まじかよ、じいさん」
「そうだ。毎年学園所有の第2運動場で行っておる…が、今年は殿もいらっしゃる事だ。志葉家が懇意にしている天幻寺で行う」
「合宿とは、腕がなりますなぁ殿!」
「…ん、そうだな」
「丈ちゃん、俺も、もちろん、参加すっからなぁ!」
「待て源太!お前は部員じゃないだろう」
「まぁ、いーんじゃない?これだけ部に顔出してるわけだし、ね?」
「そうだなぁ…」
「殿ぉ!」
「流さん、人数多い方がきっと楽しいし。な、千明もそう思わへん?」
「ンだな!源ちゃんも参加、なァ、いーだろー丈瑠、流之介!…それに、合宿って事は…」
「?」
「ふふっ腕がなるわね。ことは、食事のメニュー、一緒に考えよっ♪」
「やったぁ!茉子ちゃんの手料理、楽しみや~」
「…oh」
「…源太…頼む…」
………
……
…
…合宿一日目…
「うわぁっすっずし~い!ことは、こっち来てみろよ!源ちゃんも!」
「オウッ千明!」
「あっ待って」
「こら、千明!走るんじゃない!まずはご住職に挨拶を…」
「まぁ、3人はここに来るの初めてだし、ちょっとは大目にみてあげたら?」
「し、しかし……殿ぉ」
「少しならいいんじゃないのか?」
「ま、まあ、殿がそうおっしゃるなら……私もッ!ちょっと待~てよ~う3人共ぉう」
「んもぅ…流之介ったら、はしゃいじゃって」
「…フッ」
「丈瑠?」
「いや、昔、ここで侍の稽古をしたてなって…」
「…懐かしくなっちゃった?」
「そんな所だ」
「ふぅん。丈瑠の思い出の場所なんだ」
「あぁ…」
「ご無沙汰しております、丈瑠様」
「ご住職、お久しぶりです」
「日下部殿よりお聞きしております故、ごゆるりと鍛練をなさって下さいませ」
「ありがとうございます」
………
……
…
「つーかさ、合宿って何すんの?」
「フッフッフ…千明、よくぞ聞いてくれた…皆も!これを読んでくれ!」
「…?シンケン学園侍部合宿夏ノ陣?つか、ページ数、多ッ!」
「……じゃ、俺は、これで」
「待ァて源太、どこへ行く?」
「…アッハハウソウソ、ちゃーんと参加するってェ」
「今回の合宿のメニューは流之介に一任した。荷物を置いたら着替えて中庭に集合だ」
「了解。ことは、着替えよっ」
「うん、ほなみんなまた後で」
………
……
…
「くぁっつっかれた~!もー動けねぇ」
「千明も、まだまだ、だな」
「なぁにお~流之介ぇ」
「いたい、いたいたいたい、千明!」
「…ほんまに流さんと千明、仲良しやな」
「どーしたの?ことは」
「んーんっ何でもない。せや、夜ご飯の準備、茉子ちゃん、はよせな」
Σ( ̄□ ̄;)
「…それが、な~んかおかしいのよね~」
「??」
「(…本当に大丈夫なんだろうな流之介?)」
「(取り敢えずは大丈夫です…ご住職達にも説明してあります。最悪、薬も用意してはおきました)」
「(…それ絶対フラグじゃん!)」
「(丈ちゃん…正直そこは巻き込まれたくなかったよ、俺)」
「ちょっとそこ男子4人!何コソコソ話してんの」
「(…じい…俺、この合宿で、死ぬかもしれない…)」
………
……
…
「くあ~ッやっぱり美味いぜ~!」
「ほんま、源さんのカレー、美味しいわ~」
「おうっありがとな、千明、ことはちゃん」
「ん~カレーだけは源太に勝てないわね~」
「やっぱり、合宿といえばカレー、カレーといえば合宿!これは古からの決まりなのだからな」
「古からかはともかく(色んな意味で)ナイスチョイスだぜ、流之介」
「ああ、そうだな」
「さぁって、満腹にもなったし。今からどーすんの?」
「フフフ…源太…こんな時の為に用意しておいたアレが役立ちそうだな」
「おうよ、相棒」
「何?」
「あみだくじ?」
「洗い物と風呂焚きと布団敷き?」
「面白そうじゃん!」
「洗い物は量が多いから2人で担当、他は1人ずつな」
「残りの2人は?」
「「くつろいでよし!」」
………
……
…
「まず、洗い物は千明とことは、風呂焚きは殿、布団敷きは私だ」
「…風呂なんて焚いたことないぞ!」
「何事も経験よ、丈瑠」
「そうそう、つーか、丈瑠、風呂焚きも出来ないんだ~」
「うっ…」
「殿…出来れば私が変わって差し上げたいのですが、布団敷きがありますので…」
「つーわけだ!みんな、あとよろしくな~。行こうぜ茉子ちゃん」
「ん、了解」
「ことは、俺たちも行こうぜ」
「殿様、ごめんなさい、洗い物してきます」
「そういう訳で、殿…」
「わかった、やればいいんだろ」
「ありがとうございますッ」
………
……
…
「で、何を企んでるの?」
「さっすが、茉子ちゃん。察しがいいね」
「ごまかさない」
「いや、これは茉子ちゃんの協力が必要なんだ」
「その通り」
「わっ!流之介、ビックリさせないでよ!で、どういう事?」
「いやさ~千明とことはちゃんの事なんだ」
「?」
「なんというか、あの2人の関係がな」
「友達以上、恋人未満?」
「そうそう」
「…まさか、侍部は恋愛禁止とか言うんじゃないでしょうね?」
「いやいやいやいや、逆、むしろ逆!」
「…なんというか、見ているこっちがモヤモヤするんだ!」
「あら、それがいーんじゃない、可愛らしくて」
「こっちの間が持たないんだよ、あの2人見てたら、こう、もう、じれったい!」
「まぁ、確かに千明は確実にことはを意識してるの、周りにバレバレよね」
「そもそも千明みたいなタイプが侍部とか選ばないだろ?それを勧誘して引っ張って来たのはことはちゃんって事は…」
「まさか…一目惚れ…とか!」
「…盛り上がってる所悪いんだけど、それはないと思うな」
「だよな~」
「で?」
「んん、2人の距離を縮める手助けを私達で、とな」
「そーそー。なんつーか、2人には幸せになって欲しいしな」
「なーんか余計なお世話って感じがしないでもないけど、協力しますか…私だって2人には幸せになってもらいたいし、ね」
「さっすが茉子ちゃん!話がわかる。丈ちゃんにも協力して欲しい所だけど、なんつーか、タイプじゃないっつーか」
「殿には申し訳ないのだが、今回のプロジェクトは我々3人で進…」
「何が申し訳ないんだ?」
「と、とと殿!」
「丈ちゃん!…ふ、風呂は?」
「もう準備は終わった。そんな事より何を企んでるんだお前たちは」
「…別にいーんじゃない?丈瑠にも協力してもらいましょ」
「いや、しかし、茉子」
「って、言うより流之介と源太の2人に任せると拗れそうだし」
「いーや、そんな事はない!」
「そーだぜ茉子ちゃん、俺たち結構やるぜ」
「ほら、作戦だって!!」
-ちあき&ことは、YOU達つきあっちゃいなYO☆大作戦-
①最終日のBBQで2人に酒を飲ませる
②程よく酔った所で肝試しをして2人っきりにさせる
③酒の勢いやら非日常の環境で千明のテンションが上がり…あとは若い2人に任せる
「……」
「………」
「な!いーだろ?」
「却下だ」
「最悪ね」
「「えー!」」
「…丈瑠、お願い」
「突っ込み所が多すぎる…だいたい未成年だぞ、俺たちは。合宿で飲酒って、部を潰す気か!」
「それに…お酒に酔った千明の勢いまかせになってる所で作戦でも何でもないわよね…」
「だいたいな、肝試しって、嫌がらせか!」
「……殿?」
「…丈ちゃん、もしかして…いまだにおばけとか…苦手?」
「…う。いや、えっと」
「ハイハイそこまで。とにかく、これじゃまとまるものもまとまらないわよ。ことはの方はあたしが何とかするから、丈瑠は千明の方をお願い」
「わかった」
「いい!2人は下手な小細工しない事」
「はぁぁい…」
「とりあえず、お互いが好意を寄せてるのは確実なんだから、背中をちょっとだけ押してあげれば十分でしょ?」
「そーだな」
「…殿!私、思い上がっていました…そうです、その通りですよね!源太、我々は見守るだけで十分なのだ!」
「だな。俺たちだけで盛り上がっても仕方ないしな。よおぉっし!2人の青春、見届けるぜぇ」
「(…丈瑠)」
「(わかってる。2人が千明とことはを大切に思ってる気持ちも十分伝わってる。いざというときは俺が止めるさ)」
「(さっすが部長、ね)」
「(…からかうなよ)」
「何だよ2人とも、大丈夫だって!」
「そうですよ、殿。千明の事、お任せしますからね。茉子も、ことはを頼むぞ!」
「正直、俺たち2人だけだと不安だったんだよな~。いよっしゃ、これで心置き無く肝試しの準備が出来るぜ~。よっしゃ行こうぜ、流之介」
「ああ、そうだな!では私達はこれで!」
「ちょ!源太!流之介!肝試しやるのか!待て、か、考えなおせ!」
「…あ~あ(笑)」
………
……
…
千明とことはの恋の行方やいかに!合宿一日目の夜はこうして更けて行くのでありました…
シンケン学園!侍部~銀幕版-部活と恋は夏の陣-第二幕へと続きます。
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